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2008年2月 3日 (日)

また「サンデーモーニング」か!

 出かける前に書いておく。

 久々にTBSの「サンデーモーニング」の「風をよむ」を見たわけだが、やっぱり酷かった。この番組については、以前「「食の安全」で本来考えるべきこと(あるいはTBS「サンデーモーニング」の頽廃)」という記事で採り上げたけれども、今度はつい先日の冷凍餃子中毒問題を、あろう事か最近の日本人が昔のよさを忘れたからだ、という結論に持って行こうとしていた。しかもそれが環境問題と密接に関わっているんだってさ。

 ちょっと待て。かなり奇妙な話だ。例えばこの番組では、食糧の輸入が多い国(=日本)は環境に負担を与えていると主張したいがために、「フードマイレージ」(食糧の輸入量と輸送距離を乗したもの)なる新単位を導入して、日本は環境に一番負担をかけている国だとしている。だが、環境省の資料によれば、実際の二酸化炭素の排出量が多いのはアメリカで、次いで中国、ロシアと来て、日本となるのだが、日本の排出量はアメリカの5分の1程度、中国の4分の1程度である。仮に二酸化炭素が地球温暖化の主因となっていると考えるのであれば、もっとも重視すべきは二酸化炭素の排出量だろう。

 さらに、食糧の他生産の外注の問題は、グローバルな経済システムと、その中で徘徊する新自由主義の問題と切っては切り離せない。これは極めて普遍的な問題だ。例えば、チャールズ・フィッシュマン『ウォルマートに呑みこまれる世界』(中野雅司:監訳、ダイヤモンド社)では、ウォルマートが安さを求める余り、生産の拠点を次々と外国(主として中国)に移転させ、そして国内の雇用や産業を衰退させたという話が展開されているけれども、これは何も米国に限った話ではなく、我が国だってかなり似たような側面があるかも知れない。

 そして何よりも考えるべきなのが、やはり生産管理や衛生の問題であろう。そして「サンデーモーニング」は、生産管理・衛生の問題と、グローバルな経済の問題などを全てすっ飛ばして、日本人の心のあり方の問題に帰してしまったのだ。お前はいつから教育再生会議とか「こころを育む総合フォーラム」とかになっちまったんだ。本当に考えるべき視点を無視して、こういう心の問題にすり替えたがる連中こそ、今の政権与党の旗振り役にはぴったりだと思うんだけど。いい加減「サンデーモーニング」を左翼だと言うのはやめにしないか。こういうところ(あと教育や青少年問題)ではしっかり俗流保守なんだから。

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コメント

「サンデーモーニング」は俗流保守というよりも
おじさん好み、といえると思います。

投稿: 小林拓矢 | 2008年2月 4日 (月) 20時23分

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