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2008年10月12日 (日)

これはいいものだ。

 ついに出ました、ロバート・T・キャロル『懐疑論者の事典』(小久保温ほか訳、小内亨ほか日本語版編集、上下巻、楽工社)

 懐疑論者の事典(上)

 懐疑論者の事典(下)

 さすがに「事典」という名を冠しているだけあって、インテリジェント・デザイン論やホメオパシーなどといった典型的なニセ科学のほか、占い、信仰、魔術などといった宗教・呪術的な概念、さらには精神分析に至るまで、懐疑的に見るための視点が詰まっている。他、回帰の虚偽、実用性の虚偽、大数の法則、論点先取りなどといった論理学や統計学に冠する概念まであり、まさに懐疑論者必携のものに仕上がっている。

 上巻p.163には「科学」という項目があるが、科学を論じるなら心得ておくべき下りがいくつかある。例えば、

―――――

 科学理論とは、ある特定の範囲の経験的現象のありようを説明するための原理・知識・方法を統合したものである。(p.165)

 外なる宇宙空間と内なる原子を探るのを可能にするこうした科学理論を「ただの相対的な」もので、現実について「たんなるひとつの見方しか示さない」と言うのは、けっきょくのところ科学や科学的知識の本質をひどく誤解することになる。(p.167)

―――――

 自戒を込めて言うが、科学(理論)というものが現実を万人に向けて説明する体系的な論理、考え方の集合であることを忘れて、徒に「科学主義」を振りかざしたり、あるいは他人にそのレッテルを貼って中傷するのはやめにすべきである。

 この「事典」、読み物としても十分におもしろいので、是非買っておくべき。

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401 科学論・科学哲学」カテゴリの記事

コメント

http://blogs.dion.ne.jp/sachiyon7536/archives/7706403.html

 上記の記事を書いて、貴ブログにトラックバックしたのですが、2回失敗したので、コメント欄にリンクしました。
 新潟の若者支援NPOは目からうろこが落ちるようなワークショップを毎回受けています。
 市内にもう1つ若者支援NPO団体があって、誘われたので、今度見学に行ってみようと思います。

>ホメオパシーなどといった典型的なニセ科学のほか、占い、信仰、魔術などといった宗教・呪術的な概念

 私が好きな宝塚歌劇団で、退団した方々がこのところヒーリングなどの上記のようなたぐいの仕事をしているケースが多いです。
 まー職業選択は自由だからいいんだけど、体系的に精神保健福祉を勉強してから癒しの道に行けないのか、などと考えてしまいます。
 このところ乱立と言っていいくらいで、しかも料金が高いことが多いので、別に書いてどうなるものでもないんだけど、ぼやきで書いてしまいました。

投稿: 中山さちよ | 2008年10月18日 (土) 00時11分

内面を宇宙に例えるなら、香山リカ先生はビッグバン以前の宇宙のコメントは科学的解明が各々の主観になるから踏み込んではいけない内面宇宙科学者精神科医

江原啓之さんはビッグバン以前の宇宙も主観で踏み込んでいい唯認識?ネオユング派?内面宇宙宗教家心理学者

この二人は立場上対立しかねない(精神科医と心理学者もしくは超上心理学者?は学説的にいつも対立してる)のに何故か若者批難と言う点では一致するのが滑稽。

片や内面宇宙科学者なのに個人的主観を踏み入れてビッグバン以前宇宙に踏み込み若者精神批難全開だし

片や内面宇宙心理学者はビッグバン以前宇宙の主観世界が許容されるのを胡座をかきいいことに霊だの前世を持ち出し若者精神批難するし

若者の内面宇宙を分析するには二人とも失格と思います
宇宙のビッグバン以前の世界を語るなら幼稚園児からお年寄りまで誰でもコメントできますよ(笑)

投稿: かたるパフェ | 2009年4月 3日 (金) 03時02分

精神科医各氏の若者批難ね
例えば大槻教授が「ビッグバン以前の宇宙はまだ科学的判明不可能なので無としておきます」と公的に言うのが当たり前。
科学的証拠にもとづいて論説する物理学者だから
大槻教授が物理学者の立場で宇宙論として公的に「ビッグバン以前は神様か仏様がいて宇宙に光あれと言ってビッグバンを起こしたのです」と言ったらどうなるよ?
もちろん言論の自由だから大槻教授もそういう発言する権利は許容されてます

だけど「物理学者が詭弁に走ったか」扱いされると推測されると思うのですが

精神科医の若者へのコメントはこれと同じ発言を医者の立場で公的にするから怖い!自分意外の人の内面宇宙(心・精神)への探索は科学的証拠が判明しない部分は無の世界と扱うべき

「秋葉系ヲタクがうんたらかんたら・ヤンキーがなんたらかんたら・ニートがなんたらかんたら」と精神科医が言ったら大槻教授が「ビッグバン以前の宇宙は神様がいた」と公的に発言するのと同レベル

精神科医は機能的科学的分析の領域が正確に判明しない部分は「今のところ分かりかねます!言って見れば無の領域です!私はテレパシーがなくエンパシー程度ですから」で止めておくべき

あと香山先生は心理学者やネオユング派や唯認派が嫌いだからと言って、フロイド派や反分析派医師や玄有僧侶(中観派)や五木寛之文豪(多分中観派)まですり寄るなよ!

香山先生のライバル江原啓之先生もひどい
推測では霊とか見えてない(多分唯識派かネオユング徹底心層心理派の方便臭い)がこの手の分野は拡大論や飛躍論まで結び付けて少年心理批難できるから
「宇宙の神様は今の若者に憂いています!若者は悪魔です!」みたいな徹底若者批難どころか否定に捏造も可能だから怖い!

この両者はアナログ派だがアナログ派は「今の若者は心より物や金を大切にする若者が危ない」で手を組める!
逆にそれに対立するデジタル派は「今の若者は物を消費しなくなった!社会性が無い!」と批難する

ダブルバインドいやトリプルバインドで若者攻撃しますねぇー
若者も大変だぁー!

投稿: かたるパフェ | 2009年4月 3日 (金) 05時38分

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