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2009年8月24日 (月)

選挙「後」の青少年関連政策を考えるための5冊+α

 ああ、本来であれば1週間ほど前に、選挙の政策を考えるための新書・文庫20冊程度を紹介するという記事を本家のほうで書こうと思っていたのだが、諸般の事情によりできなかった(苦笑)。というわけで、ここでは、選挙の「後」で、特に青少年関連の政策(教育、雇用、労働中心)を考える上での本を採り上げてみることとする。

 というのも、マスコミ報道なりマニフェストなり、あるいは(労働や経済などの)専門家のブログなどを読んだりすると、自民党にしても民主党にしても、まともなブレインを立てて政策や政権公約を構築したという形跡がどうにも見あたらないからである。これではまともな政策が打ち立てられる可能性は低いし、ましてや票田にならない(とされている)若年層、子供関連など絶望的というほかない。とはいえこのような状況を変える上で、若い世代に投票に行け、と(半ば脅しの意味を込めて)言うのは得策ではないと私は考える。第一にそもそも人口が少ないのと、第二に次世代のための政策が世代間のパワーゲームで決まってしまうことに対する危惧である。

 通俗的な青少年言説、あるいは政治の上での青少年問題という枠組みは、特に教育や雇用、労働の問題が経済や法律や制度の問題であることから逃げるための口実になっているわけで、従って投票者としての我々が考えるべきことは、そのような「青少年問題」という枠組みを外してものを考える、ということにつきる。今回はそのためにたぶん必要となる10冊くらいを、まあ駆け足で紹介することとする。

 ・後藤和智『「若者論」を疑え! 』(宝島社新書)
 いきなり拙著か。しかし基礎的なデータとかはここに十分あると思います。
 ・苅谷剛彦『教育と平等』(中公新書)
 この秋から米国に旅立つ著者の置き土産みたいなもの。教育の地域間格差の解消、平等化とはどういうものだったか。
 ・濱口桂一郎『新しい労働社会 』(岩波新書)
 労働環境に関する制度、及び法律的問題を考える上での基礎的書物であり、なおかつ現時点で最高の書物。
 ・田中秀臣『雇用大崩壊 』(NHK出版生活人新書)
 こちらは経済的問題を考える上での資料。ちなみに田中は最近のブログのエントリーで《各政党とも「都市部の貧しい若者(10~30代)は無視してもかまわない」と思っているからである。それに尽きる。》と書いているけれども、まあ近年の「景気刺激策」なるものを見ているとそういう考えに至るのも非常によくわかる。
 ・山野良一『子どもの最貧国・日本 』(光文社新書)
 政府による所得移転の前と後では後のほうが貧困率が高くなってしまう我が国の再配分政策や、主要先進国に比べて低すぎる家族・教育関連支出の対GDP比など、子供や家族政策を考える上での材料が満載。

 ・次点
 「実存的解決」だとか「革命」とか「精神的貧困の解消」だとかと比べていまいち人気がないのが「既存の学術的手法や法律の活用」。少なくとも経済問題や労働問題の解決に関してはこれより効果的なものはないと思うのだが。これも精神の貧困というものだろうか。なおおすすめの書籍としては、経済なら飯田泰之ほか『経済成長って何で必要なんだろう? 』(光文社)、労働法なら今野晴貴『マジで使える労働法 』(イースト・プレス)あたりが適任かな。

 あと、飯田といったら、雨宮処凜との共著『脱貧困の経済学 』(自由国民社)は、少なくとも『経済成長~』の出版記念トークイヴェントの内容を聞いた限りではかなり期待できる内容である。

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コメント

> 青少年関連政策を考えるための
>
> 既存の学術的手法や法律の活用

「既存の」という修飾語はどこまで掛かっているのでしょうか…?

1:行政に既存の法律をもっと上手く活用させる
2:もっと上手い法律に変える

投稿: hihihih | 2009年8月24日 (月) 10時45分

池田信夫って「アレ」ですね…

(↓)コメント欄参照
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/2c785fdf87ab3e093029e0601e363952

投稿: | 2009年8月25日 (火) 00時42分


http://itk.rdy.jp/blog/2009/04/4186
http://blog.goo.ne.jp/jyoshige/e/abe79cd44418504f5e662e07394ce526
http://d.hatena.ne.jp/kuma_asset/20090308/1236493378

PRO-CON-両方に書かれているので間違いのないところだと思いますが、「雇用大崩壊」はざっぱに言って
「雇用が危い?経済学者の言うことをきいて景気を良くすりゃいいんだよ」という本なのでは…

”書名と本書の内容はミスマッチです。”
”著者の一番の雇用対策は、ズバリ経済成長そのものだからだ。”
”昨年からの金融危機までは好景気だったと思うんだけど、その間に労働者の生活は、収入や労働条件の面で豊かになったのか? これから財政と金融の政策がうまくいったとしても、別に雇用が増えて、収入が増えて、労働条件が改善するとは思えないんだけどなぁ。”

投稿: 匿名希望 | 2009年8月27日 (木) 11時13分

http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/kyousan/1248107739/l50x
当然誇張もあるんでしょうが、金曜日の裏表紙広告は中小出版社でも無理な額。何かあるんでしょうね。いやはや。

投稿: wada | 2009年8月28日 (金) 22時47分

最近気になる事

ついこないだまでは少年が事件を起こすたびに「今の世の中は心の豊かさより物を大切にする 若者が犯罪をおこすのはそのせい!子供の消費が云々 子供に物を与えるな!」と喚き

少子化がクローズアップされると「子供を増やせ!子供の消費が無いと経済が成り立たたない 今の若者は物を消費しない」の合唱。
なーんか都合良くありませんか?
そもそも少子化対策なんて口にする輩は子供を金づるとしか考えてないから信用してませんが

一番ご都合主義で自分の事しか考えてないのは年配者と思います!

投稿: かたるパフェ | 2009年9月19日 (土) 14時38分

上記は別に若者が物を消費するのを批判してるのではなく
すぐ安易に「若者は心の豊かさより物の豊かさ云々〜若者が危ない 若者に物を与えるな 買わせるな〜」と言う輩と
すぐ「少子化のせいだ〜」と言う輩と
すぐ手の平返し一貫性の無い人を批判してます

そうそう新型インフルエンザが蔓延して変異でもなったら治療の優先順位は子供からですよ
年配者や中高年で「少子化のせいで若者が〜子供を産め増やせ」と言う人に限り「子供より我々を優先しろ!全く日本は子供が多過ぎ」と言いそうに思えるのですが

若者の労働人口云々も若者の未来や夢を心配して等ではなく
年配者や中高年が若者の労働力や税収でおいしい生活したいからじゃないの?
若者をいかに利用するかみたいなエゴでは?
労働力だの少子化とすぐ言う輩の腹の底を見てみたいですね

投稿: かたるパフェ | 2009年9月19日 (土) 19時09分

ところでこの大電波、何とかなりません?

渡部昇一(「道徳教育をすすめる有識者の会」代表世話人)
 子供は美談に敏感なものです。道徳教育の一つの道は、われわれが「美しい」と感ずるような
実話を年少の者たちに伝えることです。健全な少年少女にとって、美しい、為になる話は、
同時に面白いのです。教室で偉人の話をすれば、子供たちの目は必ず輝くはずです。
(「道徳教育をすすめる有識者の会」パンフレットより抜粋)
http://www.kyoiku-saisei.jp/dotoku/dt-kobo.html

投稿: | 2009年12月26日 (土) 19時11分

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