カテゴリー「366.6 労働組合・労働運動」の記事

2007年10月13日 (土)

連合はホントに協力する気があるのか?

 「EU労働法政策雑記帳」(濱口桂一郎)で採り上げられていた記事。

連合、軸足を非正社員に…組織率引き上げ狙う(読売新聞)

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 連合本部に「非正規労働センター」を設立し、パートや契約、派遣社員らを対象に、労働相談や交渉支援などに取り組んでいく方針だ。活動の力点を「非正規労働者や中小企業で働く労働者への支援・連携の強化、組織化に最優先で取り組み、労働者全体の権利の確保と労働条件の底上げを図る」とした今後2年間の運動方針をさっそく具体化するものだ。

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 何を今更、というかあんたらが非正規の現状を無視し続けてきたんだろうが、という気もしないでもないけれども、まあ何はともあれ既存の労組がこのような方向に傾くというのは(たとい目的が組織率の向上であったとしても)歓迎すべき方向なのかもしれない。

 然るに、私にとっては、そこそこに心配になることがある。第一、連合は、悪名高い(?)「若者の人間力を高めるための国民運動」にその代表を委員として参加させ、なおかつ議事録にもその「運動」の方針に懐疑をはさむようなことはほとんどなかった。なおかつ、その委員となった高木剛が、また代表を務めるのだというのだから、その方針を疑わざるを得ない。

 あと、もう一つ気になるのが、

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 さらに、次期衆院選について、「野党の議席が与党を上回るように選挙に臨むのが当然だ。準備活動を一生懸命やる」と述べた。

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 という箇所。だが、先日もメモしたとおり、若年層や非正規の労働問題の当事者に訴えかけるだけでは政権を転覆することは難しい――というのも、それらが全ての有権者に占める割合はかなり低いからだ。従って、当事者以外の人たちにも若年層・非正規の雇用・労働問題についての理解を深めてもらう必要がある。

 ちなみにタイトルは、「Team.ねこかん[猫]」と「てつくずおきば」の「エアーマンが倒せない」の続編(?)にあたる、「こいつはホントに協力する気があるのか?」からいただいた。笑いました…特に2番で。

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2007年9月24日 (月)

「頼りになるやつが、できた。」

 「政府は大変な錯誤をしでかしていきました@「ニート“対策”」」の続き。NPO「POSSE」が「LAW! DO! キャンペーン」なるものを始めた。この試みは、もっと広がって然るべきものだろう。趣旨文には、以下のようにある。

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 現在秋期国会では、労働分野についての新たな法制度について議論がなされています。しかし、若者の感覚からは、違和感が感じられます。なぜなら今日の日本社会では、そもそも法律そのものが守られていないからです。私たちは、なによりもまず、既存の法令の遵守を実現するための施策を求めます。具体的には労働基準監督制度の強化や、その他の制度活用のサポートなど、法の適正化を実現するためのあらゆる方法がとられるべきです。その先にこそ、法改正の議論の意味があります。

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 このような認識を、我が国における若年労働運動の中核を担う団体の一つである「POSSE」が打ち出したことは、極めて高く評価されて然るべきものである。そもそも我が国における若年労働に関する言説は、労働条件の問題として捉えるよりも、若年層の「働くこと」に対する意識が変わったことにある、という視点が強く、現在でもその傾向は温存されている(ちょうど先日出た、三浦展の『下流社会 第2章』(光文社新書)の第3章や6章に書かれていることはまさにその典型だ)。

 然るに真に問題にすべきは、若年労働の現場、なかんずく末端の現場において、各種の労働法が遵守されておらず、またそのような無法状況を財界は推し進め、脱法を合法にするために法改正まで推進することである。そしてこのような行為が跋扈する要因の一つとして、若年層に対する言われなきバッシングが関わっているのは言うまでもないだろう。

 だからこそ若年労働の当事者、あるいはこのような運動に関わるものとしては、まず既存の労働法を遵守させることを徹底しなければならない。既存の労働法制が満足されないまま、「新しい正社員像を描くべき」だとか、あるいは「今の「格差社会」はかつての「階層社会」「階級社会」と本質的に違う」などといっても、所詮は絵空事に過ぎない。

 ちなみにこの記事のタイトルは、その「POSSE」が近いうちに出版する『しごとダイアリー(労働手帳)』のキャッチフレーズである。これは、トラブルに対する対処法や、相談窓口の一覧、さらに使い方によっては強力な法的証拠にもなるという極めて便利なものになるようだ。

 違法状態が異常であるように経営者側や財界に正しく認知させる必要があるし、またそのような状況を放置させてきた側にも責任を追求して然るべきである。この運動が、その発着点であることを、私は願ってやまない。

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2007年8月26日 (日)

気になる本(H19.8.26)

 グッドウィルユニオンの人たちが、『日雇い派遣』という本を出すらしいです。旬報社より。

 雨宮処凜氏の推薦が入っているというところが、何ともこの流れを押さえているという感じがしますね。要チェックでしょう。印税の一部は訴訟費用に使われるようです

 他にも、若年層の労働環境を記した本としては、以下のものをチェックしておく必要もあると思います。

 雨宮処凜『生きさせろ!』太田出版
 風間直樹『雇用融解』東洋経済新報社
 小林美希『ルポ 正社員になりたい』影書房

 上記は主としてルポルタージュ的な色彩が強いです。また、研究書としては、本田由紀『若者の労働と生活世界 』(大月書店)があり、こちらもおすすめ。

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