カテゴリー「675 マーケティング総論」の記事

2008年2月21日 (木)

消費主義的な環境対策?

 「冬枯れの街」の「こういうのコペ転って言うんですよね?コペルニクス的転回、だから私は…。」という記事で知ったニュース。いやあ笑えた。

小池氏「GWをグリーンウィークに」(TBS)

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 「ゴールデンウィーク」を「グリーンウィーク」に。5月の連休をきっかけとして、二酸化炭素を出さない休日の過ごし方を考えようと、小池百合子元環境大臣らがキャンペーンへの参加を呼びかけました。

(略)

 小池元環境相らは、「グリーンウィーク」キャンペーンを通じて二酸化炭素を出さない休日の過ごし方を考えたいとしていて、東京タワーを緑色にライトアップするなど、多くの人に参加を呼びかける計画だということです。

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 上流の文化を消費することが上流になる道なのだ!みたいなこと(大雑把)をいうような三浦展の『下流社会』論が若年層の「格差」を正確に語った本であると受け入れられるような国ならではですね(笑)。ところで、こういう「運動」みたいなものに関わらない人は、「お前は環境問題に対して無関心だ!」と嘲笑されたり、あるいは批判されなければならないんだろうか。第一我が国で(局所的に?)流行っている「LOHAS」とか「スローライフ」みたいなのって、少なくとも我が国での動向を見ていると、金持ちの道楽に過ぎないと思うんだが(そーいえば、三浦は我が国での「LOHAS」運動を牽引しているといわれている「ソトコト」とかゆー雑誌によく出ているような気がする)。これって単なるお祭り騒ぎで、政府とかが主導してやるようなことではないのでは?

 「どこを向いて走っているのか」という記事で、「とうふ連九条の会」の莫迦な真似を採り上げたけれども、我が国のこのような社会派ぶった「運動」って、参加することに意義がある、というよりも、こういう「運動」に参加して、「自分は社会問題を真剣に考えているんだ!」と実感している自分に陶酔するようなものに過ぎないのではないだろうか。そういうのって、結局のところ単なる消費文化の犬というか、あるいは自己満足でしかない。三浦みたいなどこぞのマーケティング言説に絡め取られるのが落ちだろう。

 同様の「運動」の周囲を見ていると、特に若い世代が先導しているような運動について、どうも「僕たちみたいな若者が無関心だから問題なんだ!」みたいなことを喧伝して、結局叫んでいるだけの運動って、結構多い気がする。そうではなく、しっかりとした根拠に基づき、なおかつ(できれば)実際の利益を生み出す、あるいは利益に結びつけるような運動や言説こそがまず求められているのではないだろうか。それこそ昨今の「新しい」(原点回帰とも言えるけど)労働運動みたいに。

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2007年11月18日 (日)

恥を知れ三浦展

世代論:ケイタイ格差、キャバクラ自由主義な「ジェネレーションZ」とは!?(毎日新聞)

 ああ、三浦展の如き、キーワードやスローガンばかりで虚飾して、実際にはほとんど何も語っていないような、あるいはヘイトスピーチやレイシズム(人種差別)と言っても仕方のないような議論によって若年層を「理解」したつもりになる莫迦が、またぞろ増えるんだろうな。

 この記事を支える三浦の世代概念については、既に「三浦展がまたバカなことをやらかすようです」という記事で述べたが、こちらの記事も、いかんせん突っ込みどころが満載。統計の非常識を地でいっている。

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 まず三浦さんが指摘するのは「ケイタイ格差」。PC回答者と携帯回答者の回答を比べると、生活水準を「上流」と答えた人は、PC回答者の方が携帯回答者より10ポイント以上多い結果となった。また、携帯回答者には「勉強嫌い」が多いが、PC回答者よりも「今後の生活に対する希望」を持っていることが分かった。この他にも、携帯利用者とPC利用者の間にさまざまな「格差」があるという。

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 まず《携帯回答者》と《PC回答者》の割合がどれほどであったかということと、また、この中でPCでも携帯電話でもインターネットを利用している層及び利用していない層を計上しているのか、考慮する必要がある。ついでに言うと三浦の言うところの「階層」なんてものは「意識」でしかないのだから、実際の階層に直接当てはめるのは無理、無駄というもの。

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 次に、性については自由になっているが、なりたい職業と実際になれる職業のギャップに悩んでいる「キャバクラ自由主義」。「なりたい職業」を聞いたところ、1位ミュージシャン、2位音楽関係、3位雑貨屋……と「いかにも夢見がちな職業」(三浦さん)が続き、なんと11位にはキャバクラ嬢・ホステスがランクイン(21.8%)。ちなみに公務員は16位で17.9%だった。

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 脳天が石巻市まで飛んだ。ここ、ギャグで言っているのですか?少なくともこの結果だけでは《キャバクラ自由主義》なんて概念を生み出すことはできない。第一に、《「なりたい職業」を聞いたところ、1位ミュージシャン、2位音楽関係、3位雑貨屋……と「いかにも夢見がちな職業」(三浦さん)が続き、なんと11位にはキャバクラ嬢・ホステスがランクイン(21.8%)》と書いてあるだけに、たかが11位でしかないのになんで《キャバクラ自由主義》なんて言葉が出てくるんだろうか。所詮はヴィヴィッドな言葉で若年層を「わかったつもり」にさせる(実際にはヘイトスピーチやレイシズムを煽っているしかないのだが)三浦クオリティが炸裂したと言うことだろう。第二に、《キャバクラ嬢・ホステス》などという表現に見られるように、おそらくこの結果は女性のみを抽出している可能性が高い。

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 さらにZ世代の特徴は「日本が好き・地元が好き」。この世代では「よさこい」や「ソーラン節」を踊ったことのある人が23.5%、女子高生の携帯回答者では5割以上に上ることから、「よさこいナショナリズム」と命名した。「よさこい」だけでなく、浴衣や甚平、和柄プリントの小物など「和物」に対する抵抗がなく、音楽ジャンルでは8割が「Jポップ」を好む。好きな映画も、女子の半数が「洋画」より「邦画」を選んでいるのが特徴だ。

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 石巻から脳天が帰ってきたと思ったら、今度はこの下りで山形市まで飛んだ。《この世代では「よさこい」や「ソーラン節」を踊ったことのある人が23.5%、女子高生の携帯回答者では5割以上に上ることから、「よさこいナショナリズム」と命名した》なんて香山リカみたいなことを言っているんじゃない。それにしても、《この世代では「よさこい」や「ソーラン節」を踊ったことのある》という経験が何でナショナリズムと見なされねばならないのだ。それに、《音楽ジャンルでは8割が「Jポップ」を好む》まで問題視されているけれども、単に敷居が低いだけでは?ともかく、この程度で「ナショナリズム」を論じるなんて、三浦も俗流左翼に転落したと言うことか(今に始まったことじゃないけど)。

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 最後に、三浦さんは「バーチャル・スピリチュアリズム」を挙げた。「奇跡を信じる」人がPCで3割、携帯で7割に上り、携帯の女子の55%が「人間には前世がある」と信じている。また43%が、スピリチュアルカウンセラーの江原啓之さんを信じていた。

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 今日は脳天がよく飛ぶ。今度は福島市まで飛んだぞ。三浦には、是非とも、リチャード・ドーキンスの『神は妄想である』(早川書房)を是非読んで欲しい。それを読めば、いかに我が国が牧歌的なところで騒いでいるかと言うことがよくわかる。何せ、米国ではたくさんの人が奇跡だとかを信じているのみならず、宗教右翼によって進化論を否定し、創造論を広めるような動きがあるんだから。

 というか、この記事を見る限りでは、三浦は女子ばかり問題視しているように見えるな。男子はどうなのだろうか。とはいえ、三浦は若年層であれば女にも男にも偏向した視線を送っているのは、女性なら『「かまやつ女」の時代』(牧野出版)、男性なら『下流社会 第2章』(光文社新書)を読めば一目瞭然である。ついでにこの世代論については、やはり上の世代との比較が全くない。そういう点を知っているのかどうかはわからないけれども、下のような結論を出すことはできないはずなんだけど。

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 三浦さんは、「90年代のバブルの崩壊によって日本社会の価値観が大きくゆらぎ、震災、オウム、酒鬼薔薇事件(神戸児童連続殺傷事件)などショッキングな事件が相次いだ。あるいはお父さんの会社が倒産した経験があるなどして、90年代に物心がついたZ世代は、これまでの日本人とは同じものを信じることができないのではないか」と指摘している。

 ちなみに、「ジェネレーションZ」は、「ジェネレーションX」、「ジェネレーションY」に続く世代、ということで「Z」と名付けられたという。「Z」の次は何になるのか……。【米岡紘子】

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 はー、最後はこの手の世代論と終末論ですか。懲りないねえ。というか、今まで多くの論者が若年層について変に持ち上げたり、あるいはその反動で急に貶めたりして、若年層について科学的、実証的な検証が注目されないまま、変な「運動」かスローガンやキーワードで若年層を「わかったつもり」にさせて、誤った政策や言説ばかりがはびこるようになった。そういうところに対する反省が、全く感じられない(感じられなくて当然かもしれないけれども)。

 ついでに統計や通俗的な世代論が疑えない毎日の記者としての「米岡紘子」という名前は是非とも覚えておこう(いつまで覚えていられるかわからないけれども)。ついでに「女子リベ」と「冬枯れの街」にも報告しておこう(笑)。

 ついでにこんな記事もある。

世代論:あなたは「おやZ層」?「ちょいわるZ層」? ジェネレーションZ度チェック!

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 14項目の質問のうち、「はい」の数をチェックしてみて下さい。
 1.今年は浴衣を着た
 2.音楽ジャンルではJポップが1番好きだ
 3.将来はミュージシャンになりたい(なりたかった)
 4.自動車に関心はない
 5.地元が好きだ
 6.よさこい、ソーラン節を踊ったことがある
 7.デートは郊外のショッピングセンター
 8.人間は死んだら生まれ変わると信じている
 9.日本の文化は素晴らしいと思う
10.パルコよりイオンが好きだ
11.スタバよりミスドが好きだ
12.今後日本が良くなると思わない
13.こつこつ頑張るだけでは報われない社会だと思う
14.(女性の場合)がさつでおおざっぱだ

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 結果はリンク先の記事を読んで欲しいが、俺は本気で殺意を覚えたことを記しておかねばなるまい。

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2007年10月26日 (金)

三浦展がまたバカなことをやらかすようです

 タイトルの通り。

Peppermint Blue:[socitey][magazine]「下流社会」の次は「ジェネレーションZ」?三たび三浦展

 で、その三浦が立ち上げたプロジェクトがこちら。「GENERATION Z」。

 まあ、三浦のことだし、どーせ極めて怪しいアンケート調査と(どうせ東京と神奈川と千葉と埼玉でしかやっていないでしょ)、それに輪をかけて怪しい牽強付会ばかりの「分析」に終始するのだろう。しかし、「読めない世代」って、なんて傲慢な。あんたらが統計に基づかずに自らの思いこみを、さもロールシャッハテストの如く一つの世代に貼り付けてきて、実像とは極めてかけ離れた虚像を絶え間なく生産してきたんだろうが。恥を知れ。

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