こんな本が出ていた
先日、ヨドバシカメラのゲーム売り場を見て回っていたら、雑誌のコーナーにこんなのが並んでいた。「ファミ通DS+Wii 2008年4月号増刊 ゲームスコ×ゲームスメ」(エンターブレイン)である。内容は以下の通り。
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親子で楽しむDS&Wii! お父さん・お母さんのためのライフスタイルゲーム誌!
ゲームを楽しんでいる息子さん(ゲームスコ)や娘さん(ゲームスメ)をお持ちのお父さん・お母さんに向けた、新しいタイプのライフスタイル誌。「子供といっしょにゲームを楽しみたい」、「子供がゲームばかりやっていて心配」、「子供にもっと合ったゲームはないのか?」。そんな悩みにズバリお答えする作り。同じ悩みを解決しているお父さん・お母さんも多数登場。ゲームの知識がまったくなくても読める、新しいタイプのゲーム誌です。
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こういうとらえ方自体、Nintendo DSとかWiiとかを売り出している任天堂の思惑に乗せられている、といううがった見方もできるけれども、少なくともこういう試み自体は高く評価すべきだと思う。一部の論者(というより、ゲーム悪影響論者の大半?)においては、ゲームとなると一人で黙々とプレイするものとか、あるいはコミュニケーションの発達を阻害するものだとか認識されているけれども、このようにゲームを媒介したコミュニケーションのあり方についてはもう少し見直されるべきだろう。
「シリアスゲーム」概念が「ゲーム脳」論を駆逐することができなかったのは、やはり「ゲーム脳」論の信者は、大文字の「教育」だとか、あるいは教育が子供の能力の発達に及ぼす影響などといった学術的な分野ではなく、むしろ子育ての次元においてゲームの「悪影響」なるものを過剰に見ていたきらいがある、ということを挙げることができるかもしれない。だからこそ、ゲームをうまく使って子育てに役立てよう、という言説は、ゲームの実用的な側面を強調する概念(シリアスゲーム)を普及させるためにはより効果的な言説になりうるのではないか、と思う。
第一この本、「ゲーム脳」理論を否定する馬場章・東大教授のインタヴューをかなり先頭のほうに持ってきているし(笑)。とはいえ、ゲームがさも悪魔であるかのように過剰に恐れるのは、親としての責任の放棄ではあるまいか。全国の親、というよりはゲーム悪影響論を信奉する教育関係者こそ読むべき本であろう。
ちなみに「ファミ通」の編集発行人である浜村弘一は、ゲームと子育てについて論じた『ゲームばっかりしてなさい。』(エンターブレイン)という本を出している。私は未読だが、「新・たこの感想文」の書評を見る限りでは、なかなか良心的な本らしい。読んでみるか。
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