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2005年2月15日 (火)

トラックバック雑記文・05年02月15日

 MIYADAI.com:第二回 TEPCOインターカレッジデザイン選手権を終えて(宮台真司氏:社会学者)
 *☆.Rina Diary.☆*:持病が。(佐藤利奈氏:声優)
 宮台氏の文章は、建築に関する話です。私は現在大学の建築学科に通っているので、短文ながらも興味深い指摘があります。

■第一に、透明に見通せることを「コミュニケーションの触媒」だと勘違いする作品が多過ぎた。それではコミュニケーションに必要な最低限の感情的安全が得られないだろう。
■第二に、家や町が公私と上下の組合せから成り立つことを見抜いてほしい。洞窟の奥の見えにくい所が私。出口近くが公。私的な場に居て良いのは、上(強者)か下(弱者)か。
■第三に、時間/空間的に視角が限定され過ぎだ。時間的には「今」を相対化し、住居史に知恵を探りたい。空間的には「ここ」を相対化し、立地場所に想像力を働かせたい。

 私も、大学の課題で住宅を設計したことがありますが、住宅を設計するには、自らのやりたいようにやるだけではなく、たとえば社会学的な視座も必要なわけです。何せ、住宅を設計することは、単に何かを作るだけでなく、住宅と社会のかかわりも真剣に考えなければいけないわけで。だから、建築家と社会学者はどんどん関わりを深める必要があると思います。授業がらみで「住宅建築」「新建築」などといった建築雑誌を読むことが多くなりましたが、建築家の作品や論考のみならず、もっと社会学的な論考を載せてほしいと思います。どこかの新聞やオピニオン雑誌が「建築と社会」を取り扱った対談や特集をやってくれないものでしょうか。
 ちなみに佐藤氏のサイトにある《持病》とは、《「お引越ししたい病」》なんだそうな。引越しすると、自らの住環境や、周囲の人間関係も変わります。「引越ししたい」という「病」にかかってしまうことは、常に新しい環境を求めることなのかもしれません。これがいいことなのか、悪いことなのかは、もう少し深く考えてみる必要がありそうです。

 週刊!木村剛:[ゴーログ]国民総背番号制にあなたは賛成ですか?(木村剛氏:エコノミスト)
 ヤースのへんしん:公務員からドーゾ
 「国民総背番号制」に関する文章ですが、私としては、導入は慎重にやるべきだと思います。もちろん、この制度には利点も多数あるでしょう。しかし、制度を導入することによって新たなリスク、たとえば、予算、セキュリティ、偽造される可能性をあらかじめ勘案・予測しておく必要もあることは明らかです。これでリスクが少なく、利点が大きいというのであれば、私は導入してもいいと思いますが、不安要素が多すぎます。まず、国民が理解を示しているか。次に、管理とセキュリティは万全か。特に後者については、省庁のホームページが簡単にセキュリティを破られて進入されるという報道が多くなされていることからも分かるとおり、我が国の政治におけるセキュリティに関する知識が足りないことも不安要素たりえます。「ヤースのへんしん」では、

 結局は「指紋」などの、個人を特定できる体の一部を判定基準とするしかないと思うのです。
 それなら、背番号は必要ないわけですよね。

 と、番号を振る以外にも(偽造されにくい?)やり方があることを示唆しています。しかし、たとえば指紋を用いる場合にも、指紋データの漏出が問題になるでしょうから、サイバー政治戦略とは複雑なものです。
 ちなみに、「ヤースのへんしん」には、こんな面白い案もあります。

 まずは、公務員だけ先に背番号を付けて見たらどうでしょうか?
 保険証も免許証、ETC、定期券、クレジットカード、各種メンバーカードなどを一元的にオンラインで管理するわけです。
 東京に出張してるはずなのに、大阪の居酒屋でカードを使い、定期券で家まで電車で帰ってるとか、残業してるはずなのに役所の最寄の駅から5時15分に電車に乗ってるとか。
 「カラ出張」もできなくなるし、「カラ残業」もできなくなる。
 公務員の事件では、個人が特定できずにうやむやにされることが多いわけですから、背番号はいいかもしれませんよね。
 国が導入したいなら、まずは公務員だけ3年ほど導入してみたらどう?
 国民から給料を貰ってるんだから、国民を代表してやってみればいいんじゃない。

 まあ、公務員の不透明なカネの使い方を明らかにする、ということはできるのかもしれません。
 しかし、木村氏のブログで奇妙に思えるのは、「国民総背番号制」の導入の議論が、なんと偽造通貨の横行から始まっているのです(実際には他のブログからの引用で、木村氏が制度導入による犯罪の抑止効果を論じているわけではありませんが)。
 これでいいのでしょうか。
 《個人の認証の問題》というのであれば、なぜ国民総背番号制でなければいけないのでしょうか。「ヤースのへんしん」のような指紋認証システムとか、あるいはNシステム(自動車のナンバープレートの認証システム)のようなシステムでもいいはずです。このブログの筆者は、なぜ国民に番号を振る必要があるのか、という根本的な疑問に答えきれていない気がします。
 あまつさえ、このようなことを言っているブログさえありました(ブログ名は挙げません。木村氏のブログから探してください)。

 近年、凶悪な事件が連続して起こっており何か悲しい状態になっています。そして、もし国民総背番号制と登録制度があったら、犯罪に対して抑止効果があるのでは、と思わざるを得ません。

 正気の沙汰か、と思ってしまいます。《凶悪な事件》が何を指すのか分かりませんし、《国民総背番号制や登録制度》がどのような犯罪にどのように抑止力として働くのか、ということに関してはまったくあいまいなままです。はっきり言いますが、国民総背番号制度を導入して抑止力になりうるのは、私が考える限り脱税ぐらいではないか(これに関しても、木村氏が言うとおり、同時に所得税を申告制にすれば、所得税に関しては抑止力を失う)。国民総背番号制や登録制度を導入したところで、マスコミを騒がせるような凶悪事件を防げると考えるのは、まったくお門違いもいいところでしょう。
 それにしても、最近、「強い〈国家〉が自分の不愉快なものを癒してくれる!」という考えが出てきているのが気になります。具体例を挙げれば、憲法および教育基本法改正に奔走する一部の議論。これらを改正すれば、国家が自立することによって、国民にも自立心が生まれ、少子化も少年犯罪もみんな解決できる!って言っている改正論者は、まともな社会学者や経済学者を莫迦にしていますね。憲法に関する視座については、長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』(ちくま新書・2004年4月)を推薦します。少なくとも憲法と青少年問題を強引に結び付けて考えることのアホらしさが分かります。
 それから、ここでも何度か採り上げた「有害情報規制」。言っておきますけれども、この規制を導入する人にとっての「有害情報」とは、単に「自分の道徳的観念に照らし合わせて気に入らない情報」であり、それ以上のものではないのでしょうか。実を言うと私も、このブログで散々オタクメディア規制を批判してきましたけれども、露骨な性描写はむしろ嫌いです。しかし、嫌いなら見なければいいのではないでしょうか。いうなれば「見たくないものを見ないですむ権利」ですね。それを無視して国家による規制を求めるのは、国家と国民が自分と同じ価値観を持ってくれないと困る、ということに過ぎないのではないでしょうか。同じ論理で、いわゆる「禁煙ファシズム」も批判できます。私だってタバコは「大」を10回繰り返したくなるぐらいに嫌いです。しかし、嫌いであれば遠ざかればいい、あるいは分煙を主張するべきでしょう。自分の志向にあわないものは国家が規制しろ、という言論を、私は「生活保守主義的プチナショナリズム」と名づけます。どっかの俗流精神科医の「ぷちナショナリズム症候群」なる空疎な「若者論」とは一味違うぞ!これに関しては、また稿を改めて論じる必要がありそうです。

 山崎宏之のウェブログ:【大阪寝屋川中央小侵入事件】「ゲーム大好き」「ひきこもり」無職・17歳卒業生(山崎宏之氏)
 凄惨な事件がおきてしまいました。犠牲者のかたがたには、心から同情を禁じえません。
 しかし、この事件の報道(山崎氏のブログでは朝日新聞の記事が引用されていましたが、読売新聞も同じようなことを報じていました)が、またぞろ「ゲーム」「ひきこもり」を強調しているのは、なぜなのでしょうか。どうしてほかの要因を見ようとしないのでしょうか。「動機」(これが信用に足りうるものである保証はない)すら明らかにされていないのに、すぐさま「ゲームの影響で凶悪な犯罪を起こしてしまった」と思わせてしまうような報道、あるいは「「ひきこもり」は凶悪犯罪と親和性が高い」と思わせてしまうような報道をしてしまうのでしょうか。結局のところ、このような報じ方をする記者は、「自分とは関係ないところから凶悪事件が起こったのだ!自分の生き方は正しい!」という考え方に染まっているのではないか、と思えてなりません。ここから「生活保守主義的プチナショナリズム」が生まれてしまうのですね。ちょっと議論が飛躍してしまいましたが。
 話を戻しましょう。なぜ「ゲームの影響」「ひきこもり」を強調することはいけないことか。その原因として真っ先に投げかけられるべき疑問は、「ゲームが大好きな青少年はいっぱいいるし、「ひきこもり」の青少年もたくさんいると聞く。しかし、それではなぜ彼らは犯罪を起こさないのか」というものです。多くのゲーマーや「ひきこもり」の青少年が凶悪犯罪を起こさないのだから、この凶悪犯罪者を犯罪に駆り立てたものは、ゲームや「ひきこもり」以外の何か、と考えざるを得ません。安直なプロファイリングは、ある属性の人を凶悪犯罪者予備軍に仕立て上げることによってのみ成立するものですから、慎重でなければならないのは明らかでしょう。むしろ大事なことは、このような事件の再発を防ぐためには何が必要か(更生システムの見直しなど)、被害者遺族の心理的なショックを癒すためには、そしてこの犯罪者の処遇は、ということに他ならないはずです。特定の属性を持った人々や特定の世代に対する敵愾心を煽ったところで、何も変わらないのです。
 それにしても猟奇的な少年犯罪報道の「不変ぶり」にも、驚かされるところがありますね。

 もう少し「ゲームの影響」について語らせてください。
 最近になって、いろいろなところで長崎県教委による、小中学生の「死生観」をめぐるアンケートが話題になっていますね。なんでも、小中学生の約1.5割が「死んだ人が生き返る」と考えているのだとか。このような結果に関して、多くの人が「ゲームの影響」を疑っているようです。しかし、長崎県教委のアンケートを見ると、「リセットできるから」と考えたのは、なんと「生き返る」と答えた者の中のたった7パーセント!全体で見ると、0.07×0.15×100=0.85[%]となり、「ゲームの影響で死生観が麻痺している」のは全体の0.85パーセントに過ぎないのです。
 ついでにこの統計も疑ってみましょう。「死んだ人が生き返る」と答えた者への、その「理由」を尋ねる項目があるのですが、

 ①テレビや映画等で生き返るところを見たことがあるから
 ②生き返る話を聞いたことがあるから(テレビ等を見て、本を読んで、人の話を聞いて)
 ③ゲームでリセットできるから
 ④その他

 これでは誘導尋問ですよ。このアンケートの設計者は、何が何でも「メディアの悪影響」を捻出したいようですね。しかし、こんな杜撰な調査では、少なくとも統計学的な知識を持った社会学者には相手にされないでしょうね。近く、これを題材にして、久々の「統計学の常識やってTRY」をやろうと思います。
 ゲームに関しては、「コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)」という良心的な団体がありますので、こちらのウェブサイトもチェックしてみる必要があるでしょう。

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コメント

すでに現状でも「不安要素が多すぎ」だとは
思いませんか。

偽造通貨を一度に大量に正規の通貨と
入れ替えるための手段として、
郵便局の口座が使われているわけです。

すでに多くの振り込め詐欺をふくめて
一連の事件の核心に銀行や郵便局の架空口座
があることは疑いようがない。

大量の架空口座の開設がなぜ可能かといえば、
偽造免許証が堂々と作られ売られているからだ
ということは、大学中退の私にも分かる話です。
ここまでくれば、もう確かな個人認証が必要でしょう。

偽造通貨と個人認証の関係をご理解いただけた
でしょうか?

これも、まだ国内問題にとどまっていますが、
国際犯罪の温床になっている可能性も否定できないですね。

投稿: 斉藤久典 | 2005年2月15日 (火) 17時33分

>憲法および教育基本法改正に奔走する一部の
>議論。これらを改正すれば、国家が自立する
>ことによって、国民にも自立心が生まれ、
>少子化も少年犯罪もみんな解決できる!
まあ、一部の自称右(実際は似非右)が主張する
定食メニューといったところでしょうか。
そもそも国家の自立を目指すというのならば
憲法改正や教育基本法改正以外にもやることが
たくさんあるだろうに…。(例えば安保の見直し
とか食料自給率の改善とか…)
それにどんなに憲法や教育基本法をいじくろうが
少子化や少年犯罪がなくなるわけない
だろうが…。そんなんでなくなるならば正直
苦労はいらないよ。(ついでにいえば個人的意見
を言わせてもらえれば少子化問題の解消はもう
手遅れだと思う。)

投稿: hts | 2005年2月15日 (火) 19時05分

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